自然手技療法

ジョブズと代替療法

スティーブ・ジョブズが膵臓に出来た神経内分泌癌により亡くなりました。亨年56歳、あまりにも早すぎる死でした。この癌は早期発見〜手術を施すことがかなり有効な治療法であったのにもかかわらずジョブズは手術を拒否、徹底した代替療法による治療を選択した事が癌の進行を早め結果として死に至らしめたのではないかという代替療法に対するバッシングを多く目にします。私は代替療法従事者として、私見を述べさせていただきます。

 

 

代替療法とは西洋医学以外の四大伝統療法(中国伝統医学、インド伝統医学/アーユルベーダー、チベット医学、アラビア伝統医学/ユナニ医学)、あるいは薬草学(ハーブ学)、鍼灸、精油学、ホメオパシー、整体やカイロプラクティクや指圧などの手技療法などの様々な民間療法の総称です。

 

 

これらは各々が全く異なる体系を有しながらも「治癒力を高める。その結果、病が癒される」という共通理念を持っています。病の原因をウィルスや細菌などの外部に求めるのではなく、人間が本来持っている自然治癒力が何らかの原因により低下した結果痛みや病気などに苛まれる、と考えるのです。よって西洋医学が「病気思考」であるのに対して代替療法は「治癒思考」と呼ばれています。

 

 

明治以降の日本でも数十年前までは漢方医や鍼灸師や整体師などが地域の医療を多く引き受けていました。なぜならほとんどの地域が無医村だったからです。私が手技療法を学びはじめた20数年前に手にした昔のテキストには、脳卒中、盲腸、腸チフスなど通常では病院に直行するであろう諸病に対する施術が事細かく書かれておりました。しかし現代では恵まれた事に無医村などほぼ無いのではないでしょうか。

 

 

よって今まで漂っていた何となくうさん臭い医学的な領域をきっぱりと切り離し、代替療法が持つもう一つの素晴しい側面である「ヘルスプロモーション」に特化して行く事が代替療法の進むべき道ではないかと思っております。

 

 

「病気は医師が治すもの。代替療法は健康増進=ヘルスプロモーションを行なっていく。」これは私が主催する自然手技療法学院で代替療法を学ぶ生徒達にしっかりと教え込んでいる基本的な概念です。

 

 

 

しかし実際に手技療法を受けに来院するクライアントを見てみるとどうなのでしょうか? 地域の病院〜総合病院〜大学病院に通い余り良くならない時に「いいところがあるんだけど、だまされたと思って行ってみない?」などと友人知人から紹介されて来院する方がほとんどです。

 

 

 

腰痛症など最たる例です。筋力の発達のアンバランスや足関節や膝関節の狂いから腰に痛みがあるもの、頭のポジションや肩関節の硬化が原因の腰痛などはMRIなどの画像診断ではわかりません。しかしそのような方の骨格のアンバランスを正すと、呼吸が深くなるためもの凄く元気が出るのです。その結果として痛みは無くなります。また生理痛や喘息などの有効な薬が無い、あるいは薬が効かない病気は骨の歪み由来のものがほとんどであると感じています。なぜならば身体のバランスを正して行く結果として症状が無くなって行くからそのように推測ができるのです。

 

 

食事指導もそうです。病院では病気に対する療養食の指導は行なってくれますが、より健康になる為の食事指導は行ないません。病気でない人がウェルネスを求める事は範疇外だからです。

 

 

この様に代替療法はヘルスプロモーションとして大変優れております。しかし病気を治すのはあくまで西洋医学であり、医師なのです。惜しまれるかなジョブズは、彼が信望する代替療法〜自然治癒力に病を託すのでは無く、最先端の医療処置を受けながら、並行して治癒力を高めるべく、あらゆる代替療法を受けて欲しかったというのが私の感想です。

 

 

 


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