連日続く猛暑に加え、夜間も気温が下がらず熟睡しにくい日々が続いています。
そんな中、「明け方にふくらはぎがつって目が覚めた」「最近こむら返りが増えた」という声が、私たちの現場でもよく聞かれるようになっています。

実は、この「明け方の脚のつり」には、神経や筋肉の繊細なバランスの乱れが深く関わっています。今回は、少し専門的な観点からそのメカニズムを解説しつつ、整体的なアプローチやセルフケアの方法をご紹介します。
なぜ「明け方」に脚がつるのか?
筋肉が攣る、つまり「痙攣(けいれん)」を起こす背景には、以下のような複数の要因が絡んでいます。
1. 自律神経の切り替えタイミング
明け方は、副交感神経から交感神経への切り替えが起きる時間帯です。この移行期には、筋紡錘(筋肉の伸びを感知するセンサー)の活動性が一時的に不安定になることがあります。これが、過剰な収縮反応を引き起こしやすい状況をつくります。
2. 電解質バランスの乱れ
筋肉の収縮・弛緩には、ナトリウム・カリウム・カルシウム・マグネシウムといった電解質のバランスが不可欠です。
特に、夏の暑さで大量に汗をかくと、ナトリウムやマグネシウムが体外に排出されやすくなり、筋の興奮性が高まります。
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マグネシウム不足 → 筋肉の弛緩がうまくいかなくなる
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カルシウム過多 → 過剰な収縮が誘発されやすくなる
3. 筋肉の血流不足と脱水
夜間は水分摂取ができないため、軽度の脱水が進行しています。とくに、エアコンの乾燥した環境下では、無意識に体内水分が失われていることも。
血流が悪くなると、筋内の酸素・栄養供給も減少し、筋肉はより痙攣しやすくなります。
つりやすい部位に共通する特徴
脚がつるといっても、**ふくらはぎ(腓腹筋・ヒラメ筋)**に集中しやすいのはなぜでしょうか?
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長時間の短縮位(膝が軽く曲がった状態+足関節底屈)
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筋繊維の密度が高い部位(繊細な収縮調整が求められる)
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静脈還流が遅くなりやすい(下肢末端、重力の影響)
これらの条件が揃っているため、明け方にベッドで体位を変えた際などに急激な神経筋反射が起こり、痙攣が発生しやすくなるのです。
整体的アプローチとセルフケア
■ 整体でできること
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骨盤・腰椎の調整:仙骨の可動性や腰椎の前弯角が崩れると、下肢への神経伝達や血流に影響が出ます。
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後脛骨筋・腓腹筋のリリース:過緊張部位の筋膜リリースで痙攣を予防。
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自律神経の調整:頸椎や後頭骨周辺の調整で、夜間の副交感神経優位を保ちやすくします。
■ 自宅でできる予防法
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就寝前にコップ一杯の水(できれば常温)を飲む
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ふくらはぎの軽いストレッチ(足首を背屈+膝伸展)
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マグネシウムを含む食品やサプリの活用
(例:アーモンド、バナナ、にがり、エプソムソルト入浴など) -
靴下やレッグウォーマーでふくらはぎの保温
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就寝前の副交感神経刺激(深呼吸や腹式呼吸、軽い足浴)
最後に
脚のつりは、単なる「水分不足」や「寝相の問題」だけではありません。
神経系、電解質、血流、筋肉の状態などが複雑に関与する現象です。
明け方のこむら返りは、身体からの「何かがおかしいよ」というサインでもあります。整体的な視点で原因を見極め、身体に合ったアプローチをすることで、再発を防ぐことが可能です。
この猛暑のなか、体調管理に不安を感じる方はご連絡ください。
自分では気づきにくい身体の「微細な歪み」や「無意識の緊張」が、攣りやすい身体の背景にあるかもしれません。