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5月28日

皆さん、こんにちは。

今日は寒い雨ですね。こんな日は体調を崩さないように気をつけましょうね。

昨日、大学の時に公私共にたいへんお世話になった伊三郎先生の教授昇進祝賀会を有志で行ないました。
9歳年上の伊三郎先生は、時には僕たちにとってよき兄貴分でもあり、目指すべく先輩でもあるのですが、たっぷりの愛情を注ぎながら導いてくれるやはり最愛の恩師なのです。

当時から「この人にはかなわないな」と感じていた情熱や生きていく力など、久々にお会いしたのにまったく変わりなく、いつまでも先を突っ走っていてくれている恩師を持つ我々は本当に幸せだなと楽しく、ウレシく、懐かしい時を過ごしました。

必然的にどんどんボトルが空になっていきます。スプマンテに始まり食後酒のグラッパまで次から次へと。心から楽しくて、とてもおいしいお酒でした。

伊三郎先生は、間接的にではありますが、私がこの道へ進むきっかけをいただいた人でもあります。

玉川大学芸術学科演劇専攻に在籍していた当時、学外公演なる少し大がかりな舞踊公演があり、3年生であった私は多くの品目に出演させていただくべく2ヶ月間みっちりと稽古に励んでおりました。
ショウビズの世界では決してこれだけはやってはいけないという事がありまして、それは舞台に穴をあける=出れない、ということがそうなのですが、私は本番前日の舞台稽古の最中に腰を痛めてしまい、見事にすべての本番に穴を空けてしまったのです。

今まで肩が凝るとか腰が痛いなどは、おじいさんやおばあさんがなるものだろう、くらいの認識しか無くまったく自分とは無縁のものであった腰痛が突然我が身を襲って来て、どうしても出なくてはならないという焦りや責任感やらで、なんとかしなければともがくのですが、立つ事はおろか寝返り一つ、腕一つ動かす事が出来無い事に、冗談ではなく僕はこのまま死んでしまうのではないかと思いました。

友人達に抱えられて、伊三郎先生に紹介いただいたカイロプラクティックへ行ったのですが、帰りにはゆっくりとですがなんとか歩く事が出来て、何日か続けていくうちに治ってしまったのです。

自分が動けなくなってしまった事にショックでしたが、薬も使わずに、注射も何もしないで、体を捻ったり伸ばしたりするだけで、あの辛かった痛みが無くなってしまった事も本当にショックでした。
この先生はいったい僕の体に何をしたのだろうか?それからは頭の中がカイロプラクティックの事で一杯でした。
しばらくして私の親や身の回りに居る体の悪そうな友人達に行ってみて!と送り出すと、皆調子よくなって帰って来ます。

これだ!僕はこれを勉強しよう!!

別に役者になろうとかはぜんぜん思っていなかったのですが、楽しそうだなと思い進んだ演劇専攻で腰を痛めた事がきっかけとなり、まったく異分野の、しかもまったく未知の世界への扉が開かれたのです。

いろいろ調べると、カイロプラクティックとはアメリカ生まれの手技療法だそうで、周りの友人達の多くが卒業後2〜3年海外へ留学する事もあり、だったらアメリカだ!とそれはそれで楽しそうな展開が始まりそうだったのですが、ある方と出会いその人の「手技療法を勉強するなら日本で勉強するべきである。日本には昔から多くの民間療法が雑多にあって、カイロプラクティックのみならず東洋医学を始め幅広く学ぶ事が出来る。しかも母国語で。」との一言でやはり日本か!とコロッと心変わりして、卒業後に身体均整法とオステオパシーと東洋医学を学ぶ専門学校へと進む事になりました。
日本で勉強してほんとによかった、と心から思えるにはそれから10年近くが経っての事でした。当時の私は、頸椎が7つある事も、右も左も何もわからず、大学と専門学校との格差もあり毎日が不安で一杯でした。

高齢者社会が到来し、最近は「この仕事を選んだのは先見の明がありますな」などとよく言われますが、ぜんぜんそんな事考えていた訳ではなく、ただただ手技療法によって回復したあの奇跡のような体験に惚れ込んで飛び込んだ世界だったのです。
今でこそ癒しブームなどと言って職業として認知された感がありますが、20年前は何も大学出てそんなものになる必要があるのか、くらいの風潮があり、代替医療などという概念も無く、盲目のあんまさんやサウナのマッサージやどこかのおばさんが指圧に来たり、リタイアメントした方や失業した方が仕方なく「手に食」感覚でやっている仕事、のような匂いが当時は確かにありました。
現在は予防医学、統合医療、代替医療や自然療法など、見事なまでに西洋医学以外のその他の医学の認識と需要が高まって来ております。よって各方面で声高に二極分化が叫ばれていますが、成功率は当時より今の方が高いのではないかと思います。

ほろ酔い加減で帰宅するタクシーの中で、こんな事やあんな事、修業時代の辛かった事や楽しかった事など思い出しながら、小さいですがしみじみとこの職業に就けた幸せなんか感じてしまいました。

いい日でした。

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